「三大市場原理論」と「善意遠近法」
前回は三大市場原理論の説明を主にしました
では三大市場原理論と善意遠近法はどのような関係にあるのでしょうか?
善意遠近法とは?
善意遠近法とは簡単にいうと、人は無意識に「善意の道徳」でものを考えてしまうということです
人間関係の距離間で勝手にいいことをしたと思い込んでしまう現象をさします
前回シリーズで説明した善意の道徳の説明をこちらです
善意遠近法の遠近法?
善意遠近法は遠近法という言葉を使います
では遠近法とはなんでしょうか?
専門的なことは言えませんが「一般的には近くのものを大きく見えて、遠くのものは小さく見える」と、このような意味でつかわれると思います
では善意の遠近法とはいったいなんでしょうか?
身内への好意と他人への好意
善意遠近法は善意や好意の量を勘違いしてしまうという事が起こってしまいます
「善意の道徳」でも話した通り、人は身内など身近な人間には強い好意を持ちますが、逆に赤の他人に対しては無関心または弱い好意しか持ちません
これ自体は人間として普通のことです
自分の大事な友人と赤の他人と同じ扱いをしたら、友人からしたらあなたは不誠実な人間に映るはずです
これをあえて数値で表すと
大事な友人は 100
赤の他人は 0
と表すこともできます
福祉サービスで起こる善意遠近法
福祉サービスでは善意遠近法は極めてよく起こる現象です
大半の福祉サービスは少数派が受けます
全てがそうではありませんが
サービスを受けるサービス利用者(当事者)が全体の1%
サービスをする側のサービス提供者が全体の1%
どちらでもない第三者が全体の98%
こんなケースがけっこう多いです
第三者からみた善意遠近法
全体の98%の多数派である第三者の視点で、善意遠近法を見てみましょう
多数派の第三者からみたサービス利用者つまり当事者は、第三者とどのような関係でしょう?
友人でしょうか?家族でしょうか?恋人でしょうか?またはそこまでではなくても、知り合いでしょうか?
国の政策や行政サービスや福祉サービスをうける不特定多数の人たちは基本的に赤の他人です
その中に知り合いや友人が含まれている人もいるかもしれませんが、行政サービスや福祉サービスは不特定多数の人が受けます
日本に住んでいる人の1%が受けるとしても100万人
1万人に1人の人が受けるとしても1万人の人がサービスを受けます
いくら顔が広い人だとしても、友達や友人が100万人や1万人いる人はほとんどいません
つまり福祉サービス受ける人たちは第三者の多数派から見たら、ほぼ全員が会ったことすらない赤の他人にあたるのです
第三者の好意が善意遠近法
第三者の好意をふたたび数値にしてみましょう
第三者の多数派の自分の友人を 100
福祉サービスを受ける赤の他人を 0
このように数値に表すことができます
第三者にとって当事者は赤の他人なので「好意は0」になります
ここで善意遠近法が凶悪な効果を発揮します
良いことするって気持ちいいよね!
第三者の当事者への好意が0と状態で、誰かが言ったとします「他人でも困っている人がいたら助けよう!」と
本来は素晴らしい話しなのかもしれません
しかし福祉はそんなに生ぬるい業界ではありません
当事者はここでもひどい目にあいます
TVメディアなどでよく「他人を助けるのは素晴らしいことだ」とか「他人でも困っている人がいたら助けよう」などという特集が組まれたり、発言したりする人がいます
一見いい話しのようですが、これを聞いた第三者はどうなるでしょうか?
TVメディアはたくさんの人が視ます
つまりそこで「人を助けよう」と番組が組まれた場合、もうある程度世論が形成されるといっていいと思います
よっぽどの反対がない限り、ある程度そういう方向で世の中が動くと思われます
つまり当事者にとってはプラスじゃないか?と思われるかもしれません
しかし残念ながらそうはならないことが多いです
第三者の考え方こそ善意遠近法
第三者と一口に言っても、もちろんいろいろな人がいます
ですので全員とは言いませんが、多数派のかなりの人はこう考えます
第三者「よし!自分もいいことをしよう!好意を0から1にしよう!いいことするって気持ちいいな!!」と考えます
友人へは 好意100
当事者へは 好意0→1に変化しました
またTVメディアで番組が組まれました
「もっとちゃんと人を助けよう」「困っている人は部外者扱いはやめよう!」と
そこで第三者はもっと好意を上げることにしました
第三者「よし!もっと困っている他人に好意を持とう!!やはりいいことするのは気持ちがいい」と考えました
友人へは 好意100
当事者へは 好意1→2に変化しました
これでは機能しない福祉サービス
いい方向に進んでるじゃん!と思ったかもしれませんが、この場合だいたい粗悪な福祉サービスになります
次回は善意遠近法について続きを書きたいとおもいます